中年の学習ノート

無能で臭い中年の学習帳です

【論文を読む 1 】The Strength of Weak Ties / Marc Granovetter (1973)

The Strength of Weak Ties

Granovetter M, American Journal of Sociology (1973) vol: 78 (6) pp: 1360-1380

一言まとめ

社会ネットワーク研究において、非常に著名な古典論文。グーグルスカラーで引用数約 5 万件という。

人と人の関係が形成する社会ネットワークにおいて、その紐帯(つながり)の強さに注目し、相対的に希薄な関係(弱いつながり)が重要な機能を持っていることを主張。

自分なりの要約

ネットワークの性質には、密度(可能な結合のうち、実際の結合の割合)や紐帯の強さがある。
紐帯の強さは関係性の強さのことを指す。強い紐帯とは、家族や親友など、感情的に結びついていて、親密で、会う頻度も高く、経済資本のシェアが可能であるような存在。一方、弱い紐帯は仕事の同僚やそれほど会わない友人など、上記と比べた場合に希薄な関係を指す。
紐帯の強さとネットワーク密度には密接な関連があって、強い紐帯の集合はは密度が高くなる。地方のヤンキー同士が互いに全員ダチであるように、強い紐帯にある二者の友人は共通の友人になりやすいためである。一方、弱い紐帯の場合にはそのような閉構造が生じにくい、というか、そういう閉構造とならない関係こそが、弱い紐帯と定義される。
その結果、(定義上)弱い紐帯は異なるサブグループを結びつける存在と表される、というのがこの論文の主張だ。紐帯の弱さという質と、密度の低さという構造、さらにマクロレベルで見た場合は異なるサブグループ間のブリッジ、という一見異なる概念同士が実は定義の言い換えであるという指摘が巧みになされているように思える。

弱い紐帯、つまり「希薄な関係」= ブリッジは、異質な情報をもたらしやすいという独自の機能をもつ。例えば、転職などの「機会」は、弱い紐帯によってもたらされる、と本論文では主張されている。家族やヤンキー友達社会では同質的世界観(資本の資源として見た場合は相互に資本がシェアされやすいというメリットが当然あるが)のため人生の転機となるような「新情報」は得られにくいが、弱い紐帯がそのような情報をもたらしてくれるということで、これについては論文の中で何となくの実証実験も示されている(何となく n 数が少なかったり紐帯の強さの区分が恣意的に見えるけど)。
さらに弱い紐帯は、異なる価値観も伝播させるため、価値観のコンフリクトも引き起こすが、同時にそれらを統合するロジックの生成も促すとも考えられ、より大きな価値観をもつコミュニティが成立する契機をももたらす。一般に都市の人間の方が進歩的で「意識が高く」なりがちなのは弱い紐帯が多いからかもしれないのだ。

気になる点

これは 1973 年の、「概念の提示」的な論文であり、5 万件の引用の中で、様々な事例で実証されたり、反証されたり、理論自体もアップデートされたりしているであろう。これから、それを追っていく。

次に読む論文

Ronald Stuart Burt の 'Structural Holes' を読もう